14歳の世渡り術シリーズ
というと、
うむ、少なくとも社会人の読む本じゃないな…
と思う方もいらっしゃると思う。14歳の、と聞くと20歳以上の人は「私に向けられた本じゃないか」と思うかもしれんが、活字に慣れてない人には丁度良い塩梅。ご丁寧に「攻略」に上にフリガナがふってあるような本書だが、内容自体は年齢問わずに参考になるぞ。
色眼鏡をかけさせられすぎて視界が真っ黒になった人は放っておいて、
はぁー事務の仕事飽きた…
こんなん私じゃなくてもいいでしょ…
誰でもできるでしょ…
と思っちゃう人には是非 読んでみてほしい「オタクを武器に生きていく」には間違いだった。アニメとか映画とかじゃなくっても、コーヒーとかカレーとか、なにか自分が時間を忘れて没頭できる趣味があるのなら今後のためにも読んでおいた方が良い。
ってなワケで、社会人として生活しつつも
好きなことに重点を置く生活は間違っているのか…?
というコトを考えちゃう人に向けて、今回は「オタクを武器に生きていく」という作品について、読了後のレビュー・感想をまとめていきます。あ、記事本文では随所にネタバレや本文の引用もあるので、気になる方はここらでブラウザバックしてね。
「オタクを武器に生きていく」
概要・おすすめポイント
好きを活かして活躍できる人・できない人って具体的に何が違うの? 日本一のオタクアナウンサーである著者が、アニメ業界・動画配信等で活躍する方々と徹底討論し、その要件をまとめました。
〈相談相手〉
■夢を叶えたオタク・竹達彩奈さん(声優/『けいおん!』『五等分の花嫁』他)
■会社員でオタク・高橋祐馬さん(アニプレックスプロデューサー/『鬼滅の刃』他)
■意外性のありすぎるオタク・けいたんさん(ダンサー・配信者・経営者/REAL AKIBA BOYS)
■次世代オタク・尾原和啓さん(IT批評家/『プロセスエコノミー』『アフターデジタル』他)
「オタクを武器に生きていく」を読んだ感想・レビュー・心に残ったポイントは以下のような感じ。
「なりたい」より「やりたい」の方が実現に近い
大事なのは、TO BE(~になりたい)ではなくTO DO(~をしたい)で考えること。「これなら何時間やっても苦痛にならない」「思い切ってやってみたらなんだか爽快だった」ようなことでいい。
本書では上のように、TO DO(~をしたい)という考えが推奨されていた。そういえばアフロ田中でも
というように大沢が勘違いしていた。問答を間違えると、本音のすり替えが起こる。自分の活躍できる場所で働くためには
「自分が何をしている時間が楽しいのか?」
について考える必要があると、声優の竹達彩奈さんのインタビューを読んでみて感じた。「演技がしたい」と「声優になりたい」の間にはすごく差があるそうだ。
『プロの技術』と『子どものメンタル』
感覚は「ユーザーのまんま」に近いんです。究極的には、ただアニメが好きだった頃のまんま。ちょっと知識や技術が身についただけ。「永遠のアマチュア感」みたいなものがありますね。
結局、最後は「お客さんに届くかどうか」で、そこで支持されれば利益が生まれるということだと思うので。今おっしゃっていただいたように、宣伝プロデューサーとしての自分の武器は「ユーザー感覚」だったと思いますね。
鬼滅の刃やアイマスなど、たくさんのヒット作を手掛けてきたアニプレックスの高橋佑馬さんのインタビューも刺激的だった。なかでも心に残ったのが
「楽しみたい側」か「楽しませたい側」か
という考え方・線引きについて。ただ好き・楽しいから仕事にすべきかと言えば全くそんなこともなくて、''もっとこうならいいのに…''みたいな不満を感じるくらいの距離感が重要らしい。
技術的なことは後からでも身に着く場合が多い。一言に「アニメ業界」といっても『絵を描く』『声を当てる』の他、企画や宣伝など様々な分野があるので、自分がどういう熱意を持っているのかは常々 考えておきたい。
試しにやってみる「アテンプト」
さて、4つの仮説を提示してきましたが、ひとつだけ「これだけは間違いない」と確実に言えることがあります。
それは「アテンプト」です。これ、よく言われる言い方だと「チャレンジ(挑戦)」という言葉になりそうですが、そんなに脂っこく力まなくていい。「試しにやってみる」ぐらいの「アテンプト(試行)」です。
……
なんだって試してみればいいんです。面白そうなものを見つけて、とにかく飛び込んで、やってみる。大丈夫。命まで奪われることなんてありませんから。人生は、勝つか、負けるか、ではありません。勝つか、学ぶか、です。アテンプトにデメリットはひとつもありません。
何かを始める前に失敗を考えるのはリスクマネジメントの点からしても合理的だけど、なにも行動を起こさないということにもリスクが生じることについても注意したいなぁ…。
「オタクを武器に生きていく」
印象的だった文章
「オタクを武器に生きていく」を読んでみて印象に残った部分、一節を備忘録として抜き出しておく。多くなり過ぎたので数を減らしたが、少しでも気になるフレーズがあれば是非、本編を読んでね。
仕事はつらい?
たとえば「仕事はつらいか?」と聞かれれば「イエス」なのは確かです。では、同じように、「味噌汁はしょっぱいか?」と聞かれれば、間違いなく「イエス」ですよね。ただそれって、味噌汁の全部を説明したことになりますか?しょっぱいだけじゃない、さまざまな要素があり、そのさまざまな要素こそが、味噌汁の本質じゃないですか。だから「仕事はつらいか?」という問いだけでは、仕事の本質は分からないのです。
目的と手段
私、自分が有名になりたいわけじゃないんだなっていうのはよく思います。有名になりたいから声優になりたいわけじゃなくて、いいものを作りたいから声優になりたくて。でもいいものを作ったり、作品に出会うためには有名にならないといけないから、有名になろうとしているだけで。それはひとつの武器というか、やり方なだけです。別に有名にならなくても仕事ができるんだったら、それで私は満足なんだなって思うんですよ。
価値=違い×理解
「違い」は「理解」の範囲を超えると、無価値になってしまう。
仕事とプライベート
「オタクを仕事に生きていく」ために必要なのは、仕事とプライベートを分けない生活を楽しいと思えるメンタリティやマインドがあるということじゃないでしょうか。アニメを見ている時間も勉強になりますからね。「こういう表現もあるのか」とか。
まずは飛び込んでみる
まずは飛び込んでみる。
全部そうなんですよね。失敗を考えちゃうと始められなくなりそうだったので。失敗を恐れずに始めて、ちゃんと継続すること。あと、オタクの先輩としてアドバイスできることがあるとしたら、広域のオタクよりも狭いオタクの方がリターンは大きいかもしれませんね。
役に立つ、だけでは価値にならない
これだけ技術が発展した今、ただ「役に立つ」だけのものは価値が低いんです。「役に立つ」というのは単に外から見える機能だから、簡単に真似されちゃうんですよ。
(中略)
つまり「役に立つ」だけではもう差別化できなくて、価格競争でヘトヘトになっていく状況なわけです。
どのインタビューもためになったけど、なかでもIT批評家の尾原和啓さんのインタビューは面白かった。
一方で「意味のあるもの」は、その人にとってもうかけがえのない、他のものでは代替できないものだから、価値が高くなるわけですよね。
外から見えるものではもう勝負がつかないので、今度は「外から見えない、だけど自分には価値がある」もので戦うしかなくなった。「僕にしか見えていない価値をみんなに気付かせる、巻き込んでいく」っていう方法でしか、「意味」は作れなくなってきているんですよ。
悩んでいる=決めていない
アドラー心理学で哲学者の岸見一郎さんから「悩んでいる」とは「決めていない」ということだ、というお話をしていただいたことがありますが、「納得できるまで悩んで正解を見極めてから決断する」ことは不可能なんです。なぜなら正解の決断はそもそも存在しないから。まず決断、そして行動です。
いつまでも悩み続けて、決断を先送りにすることもしばらくは可能です。でも恐ろしいのは、「決断をスルーしたこと」がいつの間にか「決断したこと」になっているということ。
悩むならまず決断して、それが正解となるように行動すること。
総括:「オタクを武器に生きていく」
読書レビュー
前向きな気持ちにさせてくれる
良書「オタクを武器に生きていく」でした。決して根性論とか理想論でアヤフヤに書き散らかした本ではなく、読んだ直後から実践できる具体的な方法・考え方が多かった。
成功者バイアスじゃねーの?
と思わなくもないけど、うんざりするくらい暗い話題が多い現代であり、そこかしこでモウオワリダヨコノクニとささやかれる今だからこそ、前向きにさせてくれる本を読みたいし、みんなにも読んでほしい。
当然、
好きなことして生きていくなんて無理に決まってんじゃん…
という人が圧倒的に多いんだろうけど、そういう人だって真剣に考えたワケじゃないはずだ。
自分が(なんとなく)諦めたんだから、他の人が好きなことをして生きてくなんてズルい!
という気持ちから言ってる場合の方がきっと多い。いわば鳴き声・世迷言の類だから無視していいよ多分。
色々なことに触れる中で、僕達が本当にやりたいこと、ワクワクすることが分かる。
あなたがその中のどの要素の何で心が躍るのかは、あなたしかわかりません。ぜひ、心のままに。
自分の心がどこで反応しているのか、細分化するべし。気になった方は是非。
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